犬猫 尿検査 スティック(試験紙)検査について

前回はタンパク尿についてお話ししました。「タンパク尿→腎臓が悪い」と考えられがちですが、必ずしもそうとは限らないという内容でしたね。

犬猫 尿検査 尿タンパクとタンパク尿 その分類と病気について

2018年1月7日

今日はタンパク尿を見つける際に病院で行われる検査の中で、最も一般的なスティック(試験紙)検査についてお話ししたいと思います。

目次

スティック検査

簡単にできるためにほとんどの病院で一般的に行われている尿検査です。

色々と測定できる項目の中に「尿タンパク」も含まれていて糖、PHなどと一括で測定され検査結果として渡されることが多いと思います。

スティック検査ではメーカーにもよりますが、尿中タンパクを

1+:30mg/dl以上
2+:100mg/dl以上
3+:300mg/dl以上
4+:2000mg/dl以上

として結果を出します。

信頼性

よく行われる検査ではありますが、このスティック検査による尿タンパクの検出は異常を見つける、特に腎臓病を見つける検査としては信頼性が低いと考えられています。

その理由が以下になります。

半定量検査

スティックによるタンパクの測定は半定量検査と呼ばれます。

これは正確な量を測定する定量検査と違い、大まかな量を測定しています。あくまで大体の目安といった捉え方になります。

近藤
1+〜4+までで表されますが、各境界は曖昧になりがちです。

濃度

1+〜4+は濃度によって決められます。尿が濃い場合は必然的に濃度が上がるため、尿タンパク陽性と出ることがあります。

近藤
このため、尿の濃さを表す尿比重が高いかどうかも合わせて見ていく必要があります。

反応性

尿スティックはアルブミンとの反応率が高いです。このため、アルブミンの検出には向いていますが、それ以外のタンパクが増えてくる場合は量が過小評価されてしまう傾向にあります

偽陽性

尿がアルカリ性(PH8以上)の場合は偽陽性(本当は尿タンパクが出ていないのに陽性となる)と言って偽の陽性反応が出ます。

近藤
これはスティック検査ではタンパク誤差法というPHに依存する方法でタンパクを測定している為です。

偽陰性

逆に酸性(PH3以下)に傾いた場合は偽陰性(本当は尿タンパクが出ているのに陰性となる)となることがありますが、ここまでPHが下がることは体内ではあり得ない為この可能性は考えなくていいとされています。

しかし原因はよくわかりませんが、実際は尿タンパクが存在するにも関わらず陰性と出ることも事実としてはある為、陰性だからといって安心できないと言われています。

まとめ

尿スティック検査は容易かつ安価なため一般的に行われる検査です。しかしタンパクの検出に関しては信頼性は低く、その結果で一喜一憂するものではありません。

現在タンパク尿において信頼性が高い検査としてUPC(尿中タンパク/クレアチニン比)があります。

次回はそちらのお話をしていきたいと思います。

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