犬フィラリア症と予防について よくある質問と回答集

今年も早いものでもうすぐ4月です。

春は様々な生き物が活動を始める季節です。ワンちゃんと暮らしている飼い主様であれば、「」が飛び始める季節という認識を持たれている方も少なくないのではないでしょうか。

本日は「蚊」が媒介するフィラリアという寄生虫について少し詳しくお話して行きたいと思います。

フィラリア症について

フィラリアとは?

別名を犬糸状虫ともいう寄生虫の一種です。文字通り糸のように細長い虫で線虫というグループに属します。

線虫のグループで有名なものとしては、回虫がいます。回虫は主に腸管に寄生しますが、フィラリアは犬の心臓に好んで寄生する事が知られています。

線虫グループの寄生場所

回虫→消化管
フィラリア→心臓

寄生ルートは?

「蚊」の吸血によって起こります。

フィラリアの子供をミクロフィラリアと言い、フィラリアは犬の体内でこのミクロフィラリアを生み出します。

心臓に寄生するという特徴からそのミクロフィラリアは全身をめぐる血液の中に含まれることになります。

このミクロフィラリアが巡っている犬の血を蚊が吸血する事で、蚊の体内にミクロフィラリアが侵入することになります。(犬→蚊)

そしてその蚊がまた別の犬を吸血する際に今度はその犬にミクロフィラリアが侵入することになります。(蚊→犬)

このようにして犬→蚊→犬といったルートでフィラリアは感染を広げて行きます

近藤
ここで確認しておきたいのは、感染には蚊が必須だということです。犬から犬に直接うつるということはありませんので、そこは安心してください。

また全ての蚊がミクロフィラリアを持っているというわけではありません

近藤
蚊に刺される事がそのままフィラリア感染となるわけではないことも良く知っておいてください。

予防時期は?

蚊が感染の鍵を握るので「蚊が活動している時期」になります。

これは気温によりますので、沖縄から北海道まで地域によって差があります

予防期間を知る方法

病院に聞く
正しい予防期間は病院の先生から聞くのが確実です。

自分で調べる
その場合はこちらのサイトがオススメです。

基本は病院の先生の指示に従っていただいて問題ないと思います。ただ引越しなどで住む地域が変わって病院が見つかっていない場合は、一度このサイトで調べて見てください。

近藤
以前大阪の病院で勤めていた際に、北海道から越して来られた飼い主様が予防期間の違いに驚かれていたのを覚えています。

その飼い主様の地域では予防は8月からだったので、8月に来られたのですが大阪では4月開始で大幅なズレがあったんですね。

検査をして運よくフィラリア感染は疑われなかったので事無きを得ましたが、この様なケースもあるのだと知っておいてください。

予防方法は?

理想を言うなら蚊に刺されないことになります。

しかし、蚊に刺されない生活というのは不可能です。この為、蚊に刺されることを前提として薬を使い、体内にはいないかもしれないミクロフィラリアをいると仮定してやっつけるということをします。

近藤
つまり予防というのは感染の予防ではなくて発症の予防なんですね。

感染したタイミングで気付ける?

不可能です。

蚊に刺されて例えその部分が赤くなっていたり、痒がっていたとしても、その蚊がフィラリアを持っていたかどうかまではわかりません。

近藤
また、ミクロフィラリアが体に入った時点では、犬はまず体に異変を生じません。初期段階や、感染したタイミングで気づいて投薬ということはできません。

多くの薬が月1回 その理由は?

潜伏期間といったものが関係しています。これは体の中に病原体が入ってから症状が出るまでの期間のことです。インフルエンザだったりノロウイルスなどで聞かれたことのある方も多いと思います。

フィラリア症は体内に入ってからの潜伏期間が長いです。

ミクロフィラリアは蚊に刺された直後は犬の皮膚の下にいます。そこで大体2ヶ月くらい生活して移動する力をつけると言われています。その後心臓へ向けて動き始めてたどり着くまでに6ヶ月を要します

フィラリアを駆虫するタイミングは移動を始める前が理想です。移動が始まるとミクロフィラリアは血管内に侵入してしている状態なので、ここで駆虫すると血管に詰まってしまう危険が出てきます。

理想としては、血管に入る前、つまり感染から2ヶ月以内になります。

ミクロフィラリアの成長には個体差がありますから念には念をで月に1回ということになっています。これでミクロフィラリアを確実に移動前にやっつけることができます。

フィラリア症ってどんな病気?

近藤
最終的には心臓に寄生するので、病態としては心臓病と言えるでしょう。

心臓は全身からの血液を受け取り、全身に流す臓器です。全身からの血液が受け取れなくなると体のいたるところがむくみ、ひどくなると腹水胸水といったものが溜まって来ます。

また全身に血液を送り出せないと、栄養が行き届かないので、運動ができなかったり元気がなくなります。また各臓器も血液が送られないとなるとやはり痛んで来ます。

心臓は傷つきながらも形を変えてなんとか機能を果たそうとするのですが、その過程で肥大して周囲の肺や気管を圧迫します。そうすると呼吸困難と言った症状も出て来ます。

近藤
昔はこれによって多くの犬の命が失われました。予防薬の開発、普及が犬の寿命を大きく伸ばしたとも言われるくらい怖い病気なのです。 

よくある質問

Q1. 室内飼いだから予防しなくて大丈夫?

室外飼いよりは確かにリスクは少ないです。しかし予防は必須です。

散歩の時は外に出ますから、蚊との接触が生まれます。

また完全室内飼いだとしても、蚊は室内に侵入しますので油断は出来ません。

近藤
皆さんも家の中で蚊に刺されたという経験が一度はあると思います。どんなに高層なマンションでも、人に付いたりエレベーターに乗ったりというルートで室内に蚊が入ることはありますので予防はしっかりしてください。

Q2. 蚊取り線香や虫除けスプレーを使っているから大丈夫?

これも蚊に刺されるリスクは減りますが、たとえ使っていたとしても蚊に刺される可能性はゼロにはできません。

予防しなくていいということにはならないでしょう。

Q3. フィラリアのお薬は殺虫剤ということですよね?使いたくありません。

はい、その通りで殺虫剤です。最終的には飼い主様の判断に任せるしかないです。

その子が殺虫剤を体内に入れることのデメリットとフィラリア症の発症を防ぐことのメリットを天秤にかけてしっかりと考えていただく必要があります。

例えば、抗癌剤は副作用も大きいですが、癌を叩くというメリットがあります。こちらのメリットが上回ると判断されれば使われるわけですね。

フィラリア薬予防薬もそのように考えてください。

近藤
フィラリア症は死亡することも十分ある病気です。それに感染するリスクを背負ってでも殺虫剤を体に入れたくないか、入れたくない理由は何かをしっかり考えましょう。

Q4. 治療できるなら、わざわざ予防しなくてもいい?

近藤
これはとても大きな間違いです。
一応治療方法というのはありますが、フィラリアを体内から排除するだけであってダメージを受けた心臓は元に戻りません

フィラリア駆虫後も心臓病として薬を色々と飲まされ、運動制限など生活の質は大きく低下してしまいます。

近藤
フィラリア症になる前の状態に戻ることはできないので、治療というものに安心しすぎないでください。

Q5. 年中投与と冬は休ませるのとどちらがいいの?

それぞれにメリットデメリットがあります。

年中投与・冬は休薬のメリット・デメリット

年中投与
メリット→
フィラリア症を発症するリスクを最大限まで下げられる
※ほぼ0パーセントと言えるでしょう

デメリット→
薬代がかかる
過剰な薬を体内に入れることになる

冬は休薬
メリット→
最小限の薬投与に留められる
コストも少なくなる

デメリット→
もし運悪く冬場でも蚊に刺されてしまった場合、そしてその蚊が偶然にフィラリアを持っていると冬の間感染を放置することになる

近藤
生活スタイルとお住いの地域で選ばれるといいと思います。
選択ポイント

冬はほぼ絶対に蚊などいない場所で生活→冬は休薬

暖かい場所で冬も蚊に刺される場所で生活→年中投与

Q6.フィラリア予防のための採血って何ですか?

フィラリア症予防薬はフィラリアが血管内にいると飲ませることができません。

フィラリア症の犬1滴の血液に数百のミクロフィラリアがいると言われています。予防薬を飲むことでこれらの血管内にいるミクロフィラリアが死んで、血管に詰まってしまう可能性があるからです。

近藤
こうなるとショック状態で突然死を招くことにもなります。

この為、採血をして顕微鏡で見てミクロフィラリアがいないかどうかを確認する作業が必須になってきます。

予防していたのに感染しているはずがないと思われる飼い主様もおられますが休薬中に運悪く感染していたということを想定しての提案です。

ちなみに、年中投与をされている場合はこの検査は不要になります。

Q7. 去年の残りがあるので飲ませていいですか?

残りがある時点で少しおかしいですが・・・。

近藤

まず薬の期限が切れていないかを確認してください。切れていないのであれば使用できますが、病院で血液のチェックをしてもらってから薬を使用するようにしてください。

まとめ

いかがでしたか?

フィラリア症は怖い病気ですが予防することができる病気です。正しい知識を持ち、正しい予防方法で愛犬を守ってあげてくださいね。

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