「先生お勧めの獣医さんを教えてください!」
日頃からこのような問い合わせを非常に多くいただきます。動物病院ジプシー・獣医師ジプシーという言葉が定着するくらい、悩まれている方が多いのが実状です。
動物と安心した生活を送るためにも病院・獣医師選びはとても大切ですから、この記事を是非参考にしてくださいね。
目次
良い動物病院に所属する良い獣医師を探すという認識を持つ
まずこの質問をされる飼い主様の多くは、本当は良い動物病院や良い獣医師を探しているのではなく、正しくは
目的を達成するためには使う言葉はとても大切ですから、先にここをはっきりさせておきます☆この記事の到達目的は良い動物病院にいる良い獣医師と出会うことです。そのために必要な本当の考え方・視点を今からお話していきます。
動物病院と獣医師は別々の存在
まず動物病院と獣医師は別々の存在だと言う事をしっかり頭に入れてください。
つまり、良い動物病院にいる獣医師が必ずしも良い獣医師とは限らないし、良い獣医師がいる病院が必ずしも良い動物病院とは限らないのです。
このように言われると当たり前だと思われるかもしれませんが、いざ、
とお聞きするとここが一緒になってしまっている飼い主様が非常に多いのです。
良い動物病院にいる良い獣医師に出会う方法
良い動物病院と良い獣医師は下の図のような関係です。
今、動物病院ジプシー・獣医師ジプシーの方は①、③、④のどこかに当てはまっているはずです。この事からも皆さんが捜し求めているのは上の図で言うと②と言うことになります。
では②を探すのに一番手っ取り早い方法とは?それは
です。それ以外はとても困難を極めるので出来ればやめておきましょう。
では、本題へ。まずは、いい動物病院を探すところからですね。
良い動物病院の条件
- 検査機器が揃っている(少なくともレントゲン・血液検査・エコー検査が院内で出来る)
- 清潔である
- 獣医師が個々で治療方針を決められる(獣医師が複数いる場合)
- 担当(診て欲しい)獣医師を指名できる(獣医師が複数いる場合)
- 以上です。ちょっと少な過ぎるという飼い主様へ、もう一つ追加するならこれですかね。
- 緊急対応してくれる
とにかく
①検査機器が揃っている(レントゲン検査・血液検査・エコー検査が院内で出来る)
他にもCT・MRIや内視鏡など欲を言えば欲しい機器はあります。もちろんそれらを持っているに越したことはありません。
でもここでは、あえてこのレントゲン検査・血液検査・エコーの3つにとどめたいと思います。
です。
診察の大部分が獣医師の経験頼りになり過ぎる
外部の検査機関に依頼する事で、結果がわかるまでの必要時間が長くなる
のどちらかが起こります。
経験頼りになり過ぎる→やはり危険を伴います。
外注検査→結果が返ってくるまでにすでに病態が変化しているということもあります。
一方CT・MRIや内視鏡などは、一般診療でそこまで必要とするケースが少ない事。また麻酔をかける事がほとんどなので、そのままの診察の流れで実施するより日を改める事が多いです。この為、外注するのとあまり大きな差がないことから今回外しました。
経験豊富な先生であれば多くの病気は、問診・聴診・触診・視診を最大限駆使して結構原因が絞り込めます。
でもそれだけだと予想や経験などの主観的なデータに偏りがちなので少し危険なのも事実です。
これを知っている優秀な先生方は、そこからさらにレントゲンや血液検査、エコー検査など客観的なデータを手に入れて診察の精度を上げたいと考えます。
でもいくら腕の良い先生でもこれらの機器がないと、そこまでしか力を発揮しきれないのです。。。
②清潔である
これはとても大切な事です。不潔な病院に行って病原体をもらってしまったというのでは話になりませんよね。
見た目にキレイ
変な匂いがしない
と言ったところでしょうか。
③獣医師が個々で治療方針を決められる(獣医師が複数いる場合)
これは異論が出やすい項目だと思います。まず、院長一人という病院ではここは関係ないので省いてください。
複数獣医師がいる場合、僕が出したこのスタイル以外に
院長の決めた病院の方針に従う
というスタイルが存在します。でもこれは個人的にはあまりお勧めできません。
院長の決めた病院の方針に従うと・・・
勤務医が院長よりも勉強熱心で、院長よりも知識豊富だった場合それを生かす事ができなくなっていまいます。
もし、院長の方が経験豊富な場合は?その時は勤務医が院長の方針に従えば良いだけです。
腕の良い獣医師が力を発揮できる時に、存分に発揮できる環境が大切だと考えています。
④担当(診て欲しい)獣医師を指名できる(獣医師が複数いる場合)
こちらも異論が出やすい項目だと思います。上記同様、院長一人という病院ではここも関係ないので省いてください。
担当獣医師を指名できないという場合、
複数の獣医師でランダムに診る
ということが起こります。
複数の獣医師でランダムに診ると・・・
飼い主様からすると
と思うかもしれません。でもその先生達は皆本当に責任を持って診てくれているでしょうか?
指名を頂いた先生に全責任がのしかかる指名担当制に比べて、責任感が薄くなりがちだと僕は考えています。(※もちろんあくまで傾向の話です)
また、先生によって言う事が違ったりします。軽い病気の時はいいですが、重い病気の時はこれによって飼い主様はかなり混乱してしまいます。
また良い先生を見つけても、指名制ではなくて毎回その先生に診てもらえないというのでは、あまり意味がありません。他の先生に診られたらどうしようと、待ち時間結構ストレスがかかります。
良い先生に毎回診てもらえる指名制こそが、動物の為、そして飼い主様の精神衛生上僕は必要だと考えています。
- 責任感が希薄になりがち
- 先生によって言うことが違う場合、飼い主様は混乱し病気以外のストレスを抱える
- せっかく良い先生に巡り会えても毎回診てもらえるとは限らない
- 嫌な先生がいる場合、その先生に診られるのではないかと不安になる
緊急対応してくれる
これはおまけとして、挙げさせて頂きました。診察時間外で診てくれるのは、とても心強いです。もちろんあった方がいいです。
ただ、これは、前に述べた3つとは少し性質が異なります。これがあるから良い病院とは言えないからです。
その他のよく言われている条件について
- 家から近い
- 料金明細が明確
- 価格が良心的
- 加入している保険が窓口清算出来るか
よくこれが「いい病院の条件だ!」と言われていますが・・・。
これは便利かどうかであって良い動物病院とは全く無関係です。これらを重視し始めた時点で視界が曇り始めます。純粋に良い病院が何なのかわからなくなって行きます。
その証拠に「〇〇だからいい病院である」の〇〇に上の条件を入れてください。おかしなことに気付けると思います。
これらは完全におまけです。真剣にお悩みなのであれば、これらの条件はなくてもいいと考えた方がいいですよ。
おまけなら「緊急対応してくれる」もそうじゃないの?と疑問に思われる鋭い飼い主様もおられると思います。その通りです。
ただ一つ違いを言うなら、動物の為になるかどうかと言うところが違います。
また
- 電話・受付対応がいい
- 診察が丁寧
- インフォームドコンセントがしっかりしている
- セカンドオピニオンを勧めてくれる
などは、獣医師などの病院スタッフによります。良い動物病院と良い獣医師は切り離して考えないとわけがわからなくなりますので、ここではこれも省きます。
良い獣医師の選び方
ここまで来てようやく良い獣医師の選び方についてです。まず皆さんが獣医師を選ぶ際の基準、どんなものがありますか?きっと多くの飼い主様が重視するのは、
- 知識が豊富である事
- 手先が器用である事
- 説明がわかりやすい事
- 動物好きである事
と言ったところではないでしょうか。もちろんこの他にもたくさんの基準があると思います。
皆さんしっかりと指標を持って選ばれているのですが、どうもそれだとうまくいかないんですよね。
商品のようにスペック・能力で選ぶよりもまず、大切な我が子の命を預ける「人」として見ていかないといけないという事です。これは恋人選びに似ているのかもしれません(恋愛の議論は避けますねー( ´∀`)笑)だから僕はどんな条件よりもまず
と考えます。
何よりもまず居心地が良くて話やすい獣医師を選ぶ
ワクチンや健康診断だったり比較的すぐ治る病気の場合は、特に大きな問題にはなりません。
でも、飼い主様が平常心を保つのが難しい時や重い病気、長く通院する必要がある病気の場合、これが何より大切になってきます。
これは飼い主様だけの問題ではありません。
動物は、場(診察室を含む)の空気や飼い主様の感情を読み取る天才です。自分が病院という非日常にいたり、病気になって苦しい時は信頼の置ける飼い主様を見て、今が安全かどうかを判断します。
獣医師から受けた飼い主様の思い(影響①)はそのまま、動物に伝わる(影響②)のです。
なので飼い主様が、獣医師といて感じる感情(影響①)をできるだけプラスのものにしてあげることがとても大切なのです。
もしここで飼い主様が不満そうだったり、ピリピリしていたり(影響①)すると動物達は、
こうなると動物達は病院に行くのを嫌がったり、怒ったりして、余計疲れるようになります。
そしてその我が子を見て飼い主様は病院に行くのを躊躇したり、不安になったり(影響③)で余計な疲れを重ねます。本当にこれがとても大変なのです。
とか
とか。居心地が悪いのを我慢して診察に通い続けていると本当に大変な事になりますよ。なので僕はこれを第一条件にしています。
これは言うなれば相性問題なので、基準は飼い主様によってバラバラです。ある人にとって良い獣医師がある人にとっては良くない獣医師になる事が当たり前のように起こります。
口コミに頼るのではなく、自分の感覚を信じて誰がなんと言おうとその先生といて心地が良くないならやめておくことをお勧めします。
居心地の良い獣医師の中から絞り込む
居心地の良い獣医師を見つけたら次に
- 飼い主様の意見を尊重しない獣医師
- 失敗したり間違った時に謝らない獣医師
- 嘘をついたり知ったかぶりをする獣医師
関わるのは避けたい獣医師たちの特徴
以前勤めていたところは、セカンドオピニオンやサードオピニオン、転院症例がとにかく多い病院でした。中には本当に疲労を溜め込んで来られる飼い主様も多く、詳しく経緯を聞くとほとんどがこの3つが原因だったんですね。
もちろんこの他にも「ずっと通っているが良くならない」とか「大きな病院に行ってほしいと担当医から言われた」などで来院される飼い主様もおられましたが、この場合は飼い主様も動物達も比較的穏やかな場合が多かったです。
転院が良くないとか、そういう事を言っているのでは決してないですよ。
ただ、病気以外のストレスで疲れ果てるのは避けたいですねと言っているのです。
飼い主の意見を尊重しない獣医師
データをもとに正確な判断をするというプロのつもりなのかもしれません。でも、動物と過ごしてきた時間は飼い主様の方が遥かに長く、診断や治療の鍵となる貴重な意見を頂けることも少なくありません。
飼い主様の意見は常に頭に入れておかないと、治療の上で痛い目にあう事があります。それをしないのはきっと、まだまだ経験不足なのだと思います。
この様な獣医師は、視野が狭く治療方針も全部自分で決めてしまいがちです。気づけば獣医師と動物だけで治療を進め、飼い主様が仲間外れというおかしな事になりがちです。
確かに正しい事を言ってるのかもしれません。でも飼い主様は、本当は水素水にすごく期待してるんじゃなくて、何でもいいから我が子の為になる事を一つでも多くしてあげたかったんですよね。
だからご自身で必死に頑張って、血眼になって良さそうな方法をやっと探し出したんですよね。その努力だって認めて欲しいし、水素水がダメなら何か他の方法を提案して欲しいですよ。
失敗したり間違った時に謝らない獣医師
冷静に聞くと会話になっていませんが、実はすごく多い会話の一つです。プライドが高過ぎるのかもしれません。裁判を気にしているのかも知れません。
どんなに注意していてもどんなに優秀な獣医師でも間違ってしまう事は実際あります。そんな時は素直に謝って、全力で挽回させてもらえないか交渉の1つでもして欲しいところですが、なかなかこれができません。
それはもはや、動物を救けるより、自分を救ける事が目的になってしまっているからです。獣医師とは言えない状態かも知れませんね。
これはただの言い訳ですよね。失敗した事実を認めるべきです。医学的っぽい事を言うと飼い主様を騙せると思っているのかも知れません。
この様な獣医師はいざという時、体質だとか個体差だとか言って自分の力不足から逃げる傾向が強いです。あまり成長も見られなさそうですし、避けておいた方がいいかなと。
嘘をついたり知ったかぶりをする獣医師
次の日電話で・・・
もちろん何か事情があったのかも知れません。でも飼い主の前でカッコつけてしまう獣医師って結構いるんです。
出来ないことは出来ない。誠実である事が我が子の命を預ける獣医師には必要なことではないでしょうか。
本当にその子のことを思うなら、
じゃないですか。
これも獣医師である目的が、「動物の為」より「自分の為」に変わってしまってる先生なので色々とお願いするのは少し怖いかも知れませんね。
そして何より、知ったかぶりをする先生は、勉強不足・知識不足である事が多いです。自分の知識量に劣等感があるんですよね。
以前、すごく博識な先生のセミナーに行った時、ある受講生からの質問に対して
ってはっきり言われてたんです。
賛否はあると思いますが、これって自分の知識量に自信を持っていたからこそ言えたことだと思うんですよね。
その他の条件
この条件をクリアされてる先生なら、知識も経験も豊富で飼い主様に寄り添える先生がほとんどだと思うんですよね。
あとは、手先が器用だったり動物が好きだったり、飼い主様の希望や動物たちの病気にあわせて条件を加えていかれるのがいいのかなと思います。
まとめ
- 良い動物病院と良い獣医師を分けて考える。
- 良い動物病院を探す
- 良い動物病院で働く良い獣医師を見つける。
①の分けて考えるということがとても重要だと説明させていただきました。この上で②良い動物病院を探す→③その中から良い獣医師を探すという手順をお話をしました。
- 検査機器が揃っている(少なくともレントゲン・血液検査・エコー検査が院内で出来る)
- 清潔である
- 獣医師が個々で治療方針を決められる(獣医師が複数いる場合)
- 担当(診て欲しい)獣医師を指名できる(獣医師が複数いる場合)
という話をさせていただきました。
次に飼い主様と動物達が連動するという事から、飼い主様が居心地の良い獣医師を選ぶ必要性についてお話しました☆その中から
- 飼い主様の意見を尊重しない獣医師
- 失敗したり間違った時に謝らない獣医師
- 嘘をついたり知ったかぶりをする獣医師
いかがでしたか??今まで動物病院・獣医師選びで悩まれて来た方はこのような視点に切り替えて見られると望む結果につながる可能性が高くなると思います。
今回の記事シリーズは僕も飼い主なのでその目線で書いてきたのですが、次は獣医師目線で飼い主様に望む事を書いていきます。
飼い主様が獣医師に望む事があるのと同様に、獣医師も飼い主様に望む事があります。
それを知る事で獣医師とより良い関係を気付けるのではないかと思いますので
もよろしくお願いします〜☆