犬猫 尿生成だけ? 意外と知られていない腎臓の働き 腎機能を説明します

腎臓はおしっこを作る場所です。これを尿生成というのですが、実はそれ以外にもとても大切な働きをしてくれています。

近藤
今日はどれだけ腎臓が体にとって有益な行いをしてくれているか、お伝えしたいと思います。

目次

腎臓の場所

黒◯で囲ったのが腎臓です。ちょうど背中の真ん中あたりに位置しています。

腎臓の働き

尿の生成

腎臓には心臓から送り出される血液のうち実に20%もの血液が届けられます。この20%というのはとてもすごい量なのです。

近藤
その量のすごさは、脳に送られる血液が全体の5%でその4倍というとおわかりいただけると思います。

これだけの血液を受け取って腎臓は何をしているのか。それは、体に必要なものと不要なものの仕分けです

そして不要なものの寄せ集め(どうしても必要なものも少量含まれてしまいますが)が尿として作られ、体の外に出されるわけです。

例えば・・・

体重10kgのビーグル犬の場合、腎臓は1日に53.3ℓの血液の仕分けを行なっていると言われています。(体重よりも多いのは同じ血液が何度も腎臓を通過しているから)

そして尿として作られ捨てられるのがわずか0.2ℓの尿。残りの53.1ℓは必要なものとして体に戻されているのです。

老廃物の排泄

生きていく上で出てくるゴミです。代表的なものとして血液検査にもよく登場する尿素窒素、クレアチニンなどがあります。

薬剤やホルモンの排泄

老廃物とは言えませんが、このようにずっと体の中に残り続けても困るものを排泄してくれています。

塩分や水分の排泄

こちらも老廃物ではありませんが、過剰になった分を都度排泄して新しく体に入ってくるものと釣り合いを取っています

ホルモンの合成・分泌

こちらが意外と知られていない働きですね。腎臓は尿を作るだけでなく体に必要なホルモンも作って体を支えてくれています。

ビタミンD

飼い主
え?ビタミンDってホルモンなの?
近藤
はい。正確には活性型ビタミンDというのですが、体内のカルシウム調整として働いています。

ビタミンDは食事から摂取するか、紫外線を浴びた皮膚で作られるかのどちらかのルートで体に入ります。

その後体に入ったビタミンDは肝臓で一度手を加えられ、さらに腎臓で二度目の手を加えられ体で働く形になります。

レニン

聞きなれない名前ですがこれは血圧調整に関わります。レニンはホルモンというよりは酵素ですが、これが腎臓より出されます。

このレニンが出されることで体内で血圧を上げる働きを持つアンギオテンシンⅡアルドステロンといったホルモンが増え血圧が上昇します。 (レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系→RAA系と言います)

エリスロポエチン

これはレニンよりは少し有名でしょうか。

近藤
こちらは腎臓から出されるホルモンで、骨髄に働きかけて血液(赤血球)を作らせます。

まとめ

腎臓は尿を作る。こんなイメージですが、他にもとても重要な働きをしてくれています。

近藤
次回以降、腎臓疾患についてお話ししますがここでの知識がその後の理解に大きく関わりますので頭に入れておいていただければと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA