犬猫 尿検査 尿タンパクとタンパク尿 その分類と病気について

前回は尿検査における尿比重についてお話ししました。

犬猫の尿検査:尿比重(USG)一般的な判断方法と個人的な判断方法

2018年1月5日

今日は尿タンパクとタンパク尿、その分類について解説していきます。

目次

尿タンパクとは

尿中に含まれるタンパク質のことです。ほとんどの場合でアルブミンという種類のタンパク質を指して言います(狭義)

一応それ以外にも種類は存在していて、グロブリン(IgG、IgA、軽鎖、α1ミクログロブリンやβ2ミクログロブリンなど)、Ⅳ型コラーゲン、ベンスジョーンズ蛋白、精子、酵素(NAGなど)、ヘモグロビン、ミオグロビンといったものがあります。(広義)

尿にタンパクが出てたら異常?

いいえ、正常の尿でもタンパク質は存在しています。正常尿に存在するタンパク質としては

正常の尿にも出るタンパク質

アルブミン
グロブリン(IgG、IgA、軽鎖など)

があります。

これらは6割が血漿由来で残りが腎臓を含む尿路から尿中に出てくると言われています。

タンパク尿とは

尿タンパクの濃度が基準値を超えて尿中に含まれているときの尿を指し、イメージ的には異常ありとして使われる用語になります。

しかし全てのタンパク尿が異常というわけではなく、生理的タンパク尿といって姿勢や運動などによって一時的に出るものは特に問題ではありません。

生理的タンパク尿

はっきりとした原因はわかっていませんが、腎動静脈のうっ血が可能性として考えられています。そのほかにも種々の生理的刺激によっても起こるとされています。

近藤
問題として考えらるのはタンパク尿が持続的に排泄されている状態です。これは一回の検査だけではわからない為、複数回検査を行って見極めていきます。

タンパク尿の分類

腎前性タンパク尿

腎臓に血液が届くまでに何かしらの原因があってタンパク尿となるケースです。

よく知られているものに発熱・激しい筋肉運動・てんかん発作・うっ血性心不全があります。これらの場合は尿中にアルブミンが漏れ出てきます。

他には、

アルブミン以外のタンパク尿

多発性骨髄腫→ベンスジョーンズ蛋白
溶血性疾患→ヘモグロビン
心筋梗塞→ミオグロビン

といったようにアルブミン以外のタンパクが尿に出てくるものもあります。

腎性タンパク尿

腎臓で起こるトラブルにより生じるタンパク尿です。トラブルの場所によってさらに分類わけされています。

①糸球体性

糸球体腎炎・糖尿病性腎症・ネフローゼ症候群など腎臓の糸球体に起こるトラブルで生じるタンパク尿です。

この場合は尿にアルブミンが漏れ出てきます。

②尿細管性

尿細管壊死や中毒、腎盂腎炎などで再吸収能が低下することによって尿にタンパクが多く出るようになります。

この場合はβ2ミクログロブリンというタンパクが尿に出てくることとなります。

腎性タンパク尿を①糸球体性のみとして②尿細管性を後述の腎後性タンパク尿に含む考えもあります

腎後性タンパク尿

腎臓から出た後の尿路(尿管・膀胱・尿道)でタンパクが加わるケースです。

尿路の説明はこちらをご覧下さい。

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2017年12月9日

尿管や膀胱での炎症の他、精液や前立腺液が混入する場合もここに含まれます。

炎症は結晶・結石によるものが多く、出血により血が尿に混ざることでタンパク尿となります。血液に含まれるアルブミン・グロブリン・フィブリノゲンなど様々なタンパクが尿に出てきます。

まとめ

近藤
通常タンパク尿と言われると「腎臓に問題がある」と考えられがちですが、分類を見ていただいてもわかるように、腎臓以外の原因で上昇することも良くあります。

これらの検査方法についてはこちらの記事をご覧下さい。

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