犬猫 尿検査 UPC(尿中タンパク/クレアチニン比) について

前回に引き続き尿検査のお話です。前回の内容も多く出てきますのでまだお読みでない方は先にこちらをお読み頂きますようお願いします。

犬猫 尿検査 スティック(試験紙)検査について

2018年1月8日

今日はUPC(尿中タンパク/クレアチニン比)についてです。こちらも最近では一般的に行われる検査で聞かれたことのある飼い主様も少なくないと思います。

尿タンパクの測定ということに関してはスティックと同じなのですが、なぜこの検査が行われるのか。

スティックと比較しながらUPCについて説明していきます。

目次

UPC(尿中タンパク/クレアチニン比)とは

尿に含まれるタンパク測定量を同じ尿中のクレアチニン測定量で割ったものです。尿スティックでタンパク尿が出ている場合や、症状や血液検査などからタンパク尿が疑わしい場合に測定されます

基準値

UPCの基準値

犬:<0.5
猫:<0.4

なぜUPCを測定するのか

濃度の影響を補正できる

前回尿スティックでのタンパク測定は、尿の濃度の影響を受けてしまうというお話をしましたが、UPCではその影響を受けません

クレアチニンは一定時間当たりの尿への排泄量が一定であることが知られています。

このため尿量が多い(水が多い)場合には尿中のクレアチニン濃度は小さくなり、尿量が少ない(水が少ない)場合には尿中クレアチニン濃度は大きくなります。

近藤
このことを利用して、尿中のタンパク測定量をクレアチニン測定量で割り、尿の濃い薄いの影響を受けないようにしています。

スティックに比べて特異度が高い

特異度が高い=偽陽性が少ないということです。

スティックはタンパク誤差法というPHに依存する方法でタンパクを測定している為、PHが高いと尿タンパクを実際よりも多い結果を出してしまう(偽陽性)ことがあります。

UPCでは測定方法が異なるのでこのようなことが起こりません。

定量と半定量の違い

スティック検査は半定量検査といって1+ 〜 4+ と結果が出ます。これは大まかなくくりであるため1+(30mg/dl以上)や2+(100mg/dl以上)といったように同じ結果内でも幅が大きいです。

これと比較してUPCは定量検査で、0.5や1.4と言ったように細かい区切りで見ていくことが出来るので、治療に対しての反応や病気の進行具合の予想が立てやすいです。

まとめ

近藤
このような理由から、最近では尿スティックはスクリーニング検査として使用され、そこで気になるものがあれば、UPC測定で追求していくといったような使われ方をします。

UPCを院内で測定できる病院も増えてきていますが、まだまだ外注検査の病院が多いです。

それでもわざわざUPCを測定したいと先生がいうのにはこう言う理由があったのです。検査には得意・不得意があり、先生はそれを使い分けているのだということを知っておきましょう。

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