皆さんはタイトルにもある、腫瘍、良性、悪性、癌、肉腫の言葉の違いが分かりますか?
飼い主様の間で漠然と使われることが多いこれらの用語ですが、これらにはちゃんとした意味があります。
目次
用語の関係性
腫瘍というのが一番大きな括りになります。このため出来物ができた場合はまずそれが腫瘍かどうかという話から始まります。
出来物が腫瘍かどうか、そして腫瘍だとしたら良性か悪性か、悪性なら癌なのか肉腫なのかという話へ進んでいきます。
ではそれらはどのように分類されていくのか。
良性と悪性
これらの違いはこんな感じです。
良性腫瘍 | 悪性腫瘍 | |
①発育形式 | 圧排性、破壊性、連続的 | 浸潤性、破壊性、不連続 |
②境界 | 明瞭 | 不明瞭 |
③発育速度 | 遅い | 速い |
④転移 | なし | あり |
⑤再発 | 少ない | 多い |
⑥異型性 | 軽度 | 重度 |
⑦細胞の分化度 | 成熟 | 未熟 |
⑧壊死、出血 | 少ない | 多い |
⑨全身への影響 | 軽度 | 重度 |
手術での所見や、時間の経過による変化、また顕微鏡でみた際の所見により、その腫瘍が良性なのか悪性なのかを判断します。
各項目は主観的な部分が含まれてしまうので複数項目を組み合わせ全体的に判断していきますが、顕微鏡で見る限りは良性だが、発育形式は悪性なんて微妙なこともあります。
転移に関してのみ、あれば悪性というのは確実になります。
自分の子にこのような話が出てきたとき、もちろん獣医師から説明があるとは思いますが心構えとして知っておく必要はあると思います。
癌と肉腫
悪性の中からさらにこの2つに別れるのですが、良性と悪性の違いと比べると、これらの違いは飼い主様に取ってはあまり重要な分類ではないかもしれません。
発生学という分類において上皮系か非上皮系かによって決まります。
ちなみに、
- 上皮系→癌
- 非上皮系→肉腫
と言います。この分類については腫瘍ができた場所によるという認識でいいと思います。
腫瘍の名前からわかる分類
良性なら〇〇腫という名前が付きます。
悪性腫瘍で上皮系の場合は〇〇癌という名前が付きます。
悪性腫瘍で非上皮系の場合は〇〇肉腫という名前が付きます。
知っておくとどこかで役に立つかも知れません。ただし〇〇腫には例外も多いので注意です。
- 肥満細胞腫→悪性
- 悪性黒色腫→悪性
- 肉芽腫→腫瘍ではない
まとめ
以上が腫瘍、良性、悪性、癌、肉腫の用語説明でした。いざ我が子に腫瘍が!となるとなかなか頭が整理できないものです。
そのような時、前もって知識を持っておくだけで理解や気持ちの整理がつきやすくなるので、頭の片隅にでも入れておいていただけるといいと思います。