病気の重さや段階を表す言葉として「ステージ2」、「グレード3」だとか、こんな用語を聞かれたことはありますか?
よく使われる言葉なんですが、ちゃんとした違いを知らない飼い主様も多いようですので今日はその説明をさせていただきます。
目次
ステージ
その病気の進行具合を表します。
腫瘍の場合
主にTNM分類というのが用いられます。
T:原発腫瘍の大きさ
N:所属リンパ節転移の有無、その個数
M:遠隔転移の有無
これらの組み合わせによりステージ(病期)を判定します。
例えば、
T:腫瘍のサイズは3cm→T1(腫瘍の種類によりサイズによる数字は異なります)
N:1つの所属リンパ節へ転移している→N1
M:遠隔転移なし→M0
だからT1N1M0
そしてこの簡略化されたデータをステージの分類表に当てはめることで、
というのが決まります。
腫瘍以外
腎臓病だったり心臓病だったり、腫瘍じゃなくてもこのステージという言葉は使われます。
この場合は腫瘍の時と違ってTMN分類ではなく、病気によりますが、血液検査、レントゲン検査、症状などを考慮して作られた分類表がそれぞれ存在します。
でもイメージとしては腫瘍のステージと同じで、その病気がどれほど体の中で進んでいるのかを表しています。
グレード
腫瘍のステージ分類のように体全体を見るのではなく、グレードは顕微鏡で見たときの分類になります。こちらでお話ししている生検(細胞診や切除生検など)をした際に調べることができます。
簡単にいうと腫瘍細胞と正常な細胞がどれだけかけ離れているかを表したものです。
ステージとグレードの違い
ステージはマクロ(肉眼)で判断する病気の分類
グレードはミクロ(顕微鏡)で判断する病気の分類
というのがわかりやすいと思います。
ステージとグレードの共通点
どちらも、1、2、3・・・と数字で分類されますが、体の健康という面においては数字が小さい方が好ましく、大きい方が良くないと言えます。
ステージとグレードの関係性
ステージは現実に起こっている病気の進行、影響度合いを表すのに対して、グレードはこれから予想される病気の進行、影響度合いを表しています。
このためグレードの数字が大きいと将来的にステージの数字も大きくなりやすいです。でもタイミングによってはグレードの割りにはステージの数字が小さいということも起こります。
でも逆にステージの数字が大きいのにグレードは小さいということはあまりありません
例外はある?
膝蓋骨脱臼、俗にいうパテラが例外だと思います。パテラではグレードという言葉を使うのですが、顕微鏡で判定するわけではないですし、いま現在の程度を表す言葉として使っているので、個人的にはステージを使うべきかなと思っています。
でも
なんて通じにくいので言わないですけどね。
まとめ
少し誤解も生じるかもですが、ざっくりいうと
グレード:ミクロ、未来の病気の程度
です。いざという時に混乱しないためにも知っておかれるといいと思います。